お風呂には2つのタイプ(在来工法・ユニットバス)があるってご存知ですか?
在来工法とは、昔ながらのお風呂のつくり方です。 かつては一戸建てのお風呂のほとんどがこの工法で作られていました。周囲に防水加工を施し、その上にコンクリートなどで壁や床を造っていきます。しかし、この工法は、時間が経つと防水機能が衰えて水漏れを起こすことが多く、10~20年も経てばリフォームが必要になってしまうのです。
一方で、ユニットバス(システムバス)というのは、簡単に言うと「組み立てタイプ」のお風呂です。工場で作られた天井・壁・浴槽・床などの浴室 部品を、現場で組み立てることで、お風呂が完成します。タイルを1枚1枚打ちつけて作る在来工法と比べると、工期も短く、防水性・防寒性が高いことから、現代のお風呂のほとんどがこのタイプとなります。
また、よくある勘違いとして、ユニットバス(システムバス)と聞くとホテルやアパートなどのように、“トイレと浴槽が一体になっている浴室”とイメージされますが、そうではありません。確かに、ユニットバス(システムバス)の中には浴槽とトイレが一体になっているタイプもありますが、“トイレと浴室が別”のユニットバス(システムバス)というものも存在するということです。このページではユニットバス(システムバス)の特徴を中心にご説明いたします。
在来工法の浴室
代表的なユニットバス
床
ユニットバス(システムバス)の床はほとんどがFRP樹脂製(繊維強化プラスチック)で高い防水性能があります。最近では速乾性の床が主流で、夜入浴しても次の朝には床が乾いているというので、大人気の機能の1つです。足が濡れないという利便性の他に、浴室の湿気が抜けやすいので、湿気対策には効果が絶大です。
「カラリ床」という名でTOTOが発売した以降、今はほとんどのメーカーの一定以上のグレードのユニットバス(システムバス)に、この速乾性の床は標準装備されています。また最近では畳のように柔らかい床材や、従来より断熱性を高めた高機能の速乾性床などもあります。
壁パネル
昔のユニットバス(システムバス)の壁は年数が経つと壁パネルの表面が腐ることもありましたが、素材や表面加工技術の向上によって、そういうことも少なくなりました。最近のユニットバスは壁パネルの色や柄を複数の中から選ぶことができます。たとえばアクセントパネル貼りというような、四面ある壁パネルのうちの一面だけを別の柄に変えたりすることもできますし、すべての壁パネルを同じ柄にすることもできます。また壁パネルの表面もツルツルの『鏡面』加工をしてあるものが多く、質感を向上させると同時に、掃除が大変しやすくなっています。
また壁パネルのジョイント部分にコーキングが入っていないことで、従来のようにカビなどに悩まされることが少なく、お手入れがしやすいのが特徴です。床や浴槽の色と組み合わせて浴室空間をカラーコーディネートすることができ、パネルの裏に断熱材を入れることで、 浴室内の保温効果も高めることができます。
浴槽
浴槽の材質は主に“FRP樹脂の浴槽”と“人造大理石の浴槽”が選べます。FRPは加工がしやすく、薄くて丈夫な浴槽を作ることができます。これによりスペースを最大限活用することができ、広々とした浴槽を可能にします。人造大理石は素材の高級感を味わえますが、FRPに比べてやや傷が付きやすい素材になります。 浴槽の形状も数種類の中から選べるユニットバスも増えてきました。色もほとんどのユニットバス(システムバス)で数種類の中から選ぶことができます。床や壁の色と合わせて浴室空間をカラーコーディネートできます。また浴槽の排水栓は、“ゴム栓”や“ボタン式排水栓”があります。ボタン式排水栓は、浴槽の中に手を入れることなく排水栓の開閉ができて便利です。今はやりの高断熱浴槽は浴槽を断熱材で包み、浴槽そのものの保温力をアップさせる機能です。浴槽内の湯温をできるだけキープすることで余計な沸かし直しなどをおさえ、給湯器の運転を抑えることで省エネに貢献します。ご家族で入浴の時間がバラバラだったりするお宅にぴったりです。高断熱浴槽のふたも断熱性の高い専用品が用意されます。さらにユニットバス(システムバス)のシリーズやサイズによっては入浴姿勢保持のための手すりがついていたり、浴槽の底を段違いにして半身浴が楽しめるものなどもあります。
排水溝
ユニットバス(システムバス)の排水口には髪の毛などを受け止める網がついていますが、絡みついて掃除しにくいというのが従来までの悩みでした。一方で最近のユニットバス(システムバス)の排水口の網は、髪の毛などが絡みにくい工夫がしてあるものが多く、また排水口の形状もより掃除がしやすくなっています。
(例)LIXILのくるりんポイ排水口:浴槽の残り湯を利用して排水トラップ内にうず流を発生させ、そのうずの力で排水口の汚れを付きにくくしている。
洗い場水栓・シャワー
最近ユニットバスの洗い場水栓で増えてきているのが『タッチ水栓』や『プッシュ水栓』と呼ばれるものです。水やお湯をボタン操作で出したり止めたりするもので、操作がわかりやすいので誤操作が少なく全世代が安心して使える水栓です。『タッチ水栓』や『プッシュ水栓』は主にグレードの高いユニットバス(システムバス)に装備されています。その他のタイプには今では一般的になったサーモスタット水栓(温度調節ハンドルで温度を設定するタイプ)が主に使われています。
お湯はり機能のついていない給湯器をお使いのお宅では、お湯はりのために専用の水栓を別途浴槽側に設置するか、浴槽洗い場兼用の水栓のタイプを自動的に選択する必要があります。シャワーもメタル調のデザインのものやマッサージ機能がついたもの、節水機能がついたものなど色々と選ぶことができます。
ドア
ユニットバス(システムバス)のドアは基本的に折り戸が主流です。人が中にいる時にドアを開けてもぶつからないように採用されています。ただサイズが大きくなると開き戸が標準仕様になっているユニットバスもあります。開き戸の場合、ドア外にタオル掛けなどをつけると便利です。また引き戸や三連引き戸等もあるうえ、現場の状況で制約を受ける場合はドアのサイズやドア位置などもある程度選択できます。近年では安全のために、ドアのパネルをガラスではなく樹脂製になっていることが多いです。またユニットバス(システムバス)で意外と汚れるのがドアです。こまめに掃除をしないとパッキン部分にカビが生えたり、ガラリの中のホコリが固まって取りづらくなってしまうこともあります。そこで各社ともドアパネルのパッキンをなくしてカビを抑えたり、ホコリの溜まりにくいガラリ形状を開発したりと、「掃除のしやすいドア」が各メーカーのウリの一つになっています。
照明
照明器具も色々と選べるユニットバス(システムバス)が増えてきました。基本的には壁につけるタイプのものが浴室の大きさに応じて1灯または2灯つくのが一般的です。白熱球の生産数の減少を見越して最近の照明器具はほとんどが蛍光ランプ用になっています。天井付の照明を選んだり天井埋込型ダウンライトを選択できるユニットバス(システムバス)も多いです。またLED電球が使える照明器具も選べたりします。清掃性を考えればダウンライトが魅力的ですが、ほとんどがオプション対応になることと、天井裏に一定のスペースが必要になります。
鏡・収納・カウンター
鏡と収納、カウンターはタイプによって標準仕様が違いますが、鏡も収納も形や大きさ、収納棚の数やカウンターの大きさなど色々とあるのでお好みで選ぶことができます。鏡は最近では大きめの鏡が人気です。メーカーによって汚れにくい鏡やくもり止め機能のついた鏡のラインアップなども増えてきています。収納棚は数が多いほど収納力が増えますが、その分掃除の手間がかかります。
従ってあらかじめ収納したいものや家族の人数などで判断するといいでしょう。
換気設備
在来工法と違いユニットバスの場合は換気扇での強制換気が基本となります。そのため在来工法からユニットバスへのリフォームの場合は新たに換気扇を設置することになります。
マンションや高気密住宅などでは、24時間換気対応の換気扇を設置する必要があります。通常の天井換気扇のほか、脱衣場と同時に換気できる二室換気扇、浴室換気乾燥暖房機などさまざまな機能の機器を生活スタイルに合わせて選びましょう。やはり一番人気は“換気乾燥暖房機”です。ユニットバスのカタログでは電気式の換気乾燥暖房機だけが掲載されている場合が多いのですが、サイズが合えば温水式の換気乾燥暖房機も設置可能です。温水式の暖房乾燥機の場合、ランニングコストが普通の電気式と比べて安くなることが多く、さらに効率よく浴室を暖めることができます。また、浴室暖房はヒートショックの予防にも役立ちます。
天井
ユニットバス(システムバス)の天井の材質は壁パネルと同じ材質のものがほとんどです。また換気扇等のメンテナンスのため必ず天井点検口がついています。基本的には色は白のみですが、一部のメーカーの一部の商品で色を選べるものもあります。戸建住宅用ユニットバス(システムバス)の天井は開放感を演出するためドーム状になっているものが多く、逆にマンション用ユニットバス(システムバス)の天井は平らな天井になっています。
また戸建用ユニットバス(システムバス)の天井高は比較的高く設定してありますが、マンション用ユニットバス(システムバス)の天井高は設置スペースの問題で低めに設定されています。